
中国を中心に多くの留学生が在学しており、その受入れの歴史も長い流通経済大学。
「新松戸総合事務センター 部長代理(入試就職担当) 内田 敏信 さん」に
留学生に対する大学の取組みと現状を詳しくお聞きしました。


本学では、現在約530名の留学生がおり、そのうち92%が中国からの留学生です。次はベトナムで4%、韓国が2%、その他はロシア、スリランカなど多岐にわたっていますが、だいたいが東南アジアからの留学生です。また、本学はラグビー部があるので、その強化選手としてトンガからの留学生もいます。

本学は、国際的な実業人の育成ということを建学の精神としており、開学から留学生を受け入れてきた経緯があります。当初は台湾や韓国が主でしたが、その後台湾の留学生が徐々に減ってきた一方で韓国が増えて、90%を超えるまでになりました。
本学は24年前から中国と学術交流をしようということで、北京経済学院大学(現:首都経済貿易大学)と北京物資学院と交流協定を結び、教員・学生の交流を踏まえながら学術的な交流を図ってきました。それと同時に留学生課という専門部署を作り、私費留学生も積極的に受け入れることになりました。それで中国の留学生が徐々に増えてきて、現在に至っています。
以前、中曽根総理が打ち出した「留学生10万人計画」というのがありましたが、本学はそれ以前から実施していました。留学生をより多く受け入れて、日本の文化・経済知識などをもっと発信していこうという趣旨だったと思います。その結果どんどん増えていったのですが、同時に留学生の質の低下という問題が出てきました。
その当時は留学生がいろいろな事件を起こしたこともありましたので、やはり質を高めようということから、今度は5年計画で留学生を減らす方針に転換したのです。しかし、ここにきて政府からの「30万人計画」を受け、これまでの留学生課を国際交流センターに名称変更し、より一層きめ細かい体制で対応することになりました。

以前は留学生のために国際交流会館という学生寮がありましたが、生活様式の違いや建物の老朽化もあって廃止しました。しかし、サービス向上の意味からも大学側が宿舎の提供を積極的に斡旋しなければならないということで、1、2年生が学ぶ茨城県の龍ヶ崎キャンパスでは、市内の大家さんに積極的に働きかけてアパートを確保し、政府の助成金も活用しながら宿舎を安く提供することが可能になりました。
また、入学後については奨学金や様々な制度を創設し、まず学費減免制度を導入しました。これは、ほぼ全学生が対象で、年間授業料の約30%を減免するものです。その他には日本学生支援機構が行っている学習奨励費制度があり、年間約80名前後の成績優秀者を対象として実施しています。

ただ、これだけでは全留学生をフォローできないので、これとは別に約100名に対して本学独自の奨学金制度を利用し、月額3万円を給付しています。これらはいずれも、経済的な負担を軽減して学業を続けたいという留学生の声に応えたものです。教育に関しては、大学側が留学生に対して日本語教育にもっと取り組まなければならないということで、外国語の選択というのがありますが、全留学生は必修で日本語を選択しています。それでも追いつかない場合は、特別講座等で日本語の能力を上げるようにしています。
これをはじめの2年間で徹底してやっています。3年生になると専門課程が入ってきますので、1、2年のうちに日本語と一般教養を身につけて、3年生になる時に龍ヶ崎か新松戸キャンパスを選択することになります。物価的には龍ヶ崎のほうが安いのですが、学生はアルバイトをしないと生活ができないという経済的な事情もあるので、9割以上の学生は新松戸キャンパスを選びます。


他大学のことはわかりませんが、本学の場合は非常に出欠管理をしっかりやっているので、音信不通という留学生は一人としていません。必ず国際交流センターが生活面から授業の出席管理などについて常に対応できる体制をとり、出席数の足りない学生には電話などで連絡を取っています。特に奨学金を受けている学生は毎月、在籍確認書に承認印を受けることが義務付けられています。その際に、生活状況や授業状況を確認するようにしています。


そうです。ですから、ケータイ電話の番号をすぐに変える学生もいますが、その時にはすぐに呼び出して連絡先の変更をさせたり厳しく対応しています。生活面では、サークル活動などはほとんどしていません。そういう時間があったらアルバイトをして学費や生活費を捻出するというのが実情ですね。大学側も、それは仕方のないことだと考えているので、資格外活動という手続きを大学がとって学生に許可証を出しています。
また、本学は留学生の9割が中国人なので、各キャンパスに中国語を話すスタッフを置いています。どうしても学生と連絡が取れないというような場合は本国の実家に連絡をして、親と話すようにしています。中国では子どもの教育に対してとても熱心なので、日本でも当然しっかりやっているだろうという思い入れがあるわけです。
ですから、日本からそういう連絡があるとビックリしますね。非常に熱心ですよ。それだけに、アルバイトにのめり込んで大学に来なくなるというケースがいちばん怖いですから、そうしたお子さんを預かっているという認識をさらに強く持ってしっかり教育していこうと考えています。
国際交流センターは、いわば留学生の親のような存在ですね。また、アパートを借りる際には保証人が必要ですが、本学では担当課長が保証人となっています。それは、しっかりとした留学生で日本でもきちんとした生活が送れるということを確認しているからなんですね。

授業に関しては、日本語が十分理解できない留学生は、最初のうちは講義についていくのが大変のようですね。ですから1、2年生のうちに日本語のサポート体制をしっかりとっています。試験などをすると留学生は比較的上位にいますから、それだけ必死に勉強はしています。
部活・サークルに関しては先ほども申しましたが、留学生はほとんど参加していません。ただ本学の場合は1年生のうちから全員がゼミに入らなければならないので、留学生と日本人の学生がいっしょになってゼミを展開していく中で、交流は盛んに行われています。

あります。学園祭やスポーツの祭典などのイベントがあり、それらにはゼミ単位で参加することになるので、ゼミ内の交流、ゼミ間の交流が盛んに行われます。それから、我々職員と留学生との交流もあり、年1回、12月に留学生交流会を開催しています。これは、日本のお正月を知ってもらうということで、もちつき大会と日本そばを食べることをしています。たまに、たき火で焼き芋を作ったりしますが、非常に喜ばれますね。


これは一般入試で、その中に留学生専用の入試が年3回ありまして、Ⅰ期が11月、Ⅱ期が12月、Ⅲ期が2月です。試験については、まず書類審査と60分の日本語試験があります。これは書く能力をみるもので、日本語能力試験の2級レベルにあたります。それから面接があります。こちらは話す能力をみるもので、話を聞いて理解し、日本語で伝えることができるかということですね。
これらは全学科共通で実施しています。留学生が本学を選ぶ理由には、日本と中国との文化・経済などの交流の現場に立ちたいということと、中国ではまだ立ち遅れている分野の学問、例えば本学にある流通情報学部でコンピューターを使った最先端の商品流通や物流を勉強したいということがあります。ですから、この学部は一番の人気です。その次に人気なのが、社会学部の国際観光学科です。中国の観光事業をもっと整備したいということで、日本の観光の資格を取れば日本でも観光の仕事に就けるし、中国に帰ってからも活かせるということですね。

卒業後の進路については、日本の企業に就職するのが約4割、帰国するのが約2割、大学院に進むのが約2割弱です。あとは、日本で継続して就職活動をしています。これについては、国際交流センターと就職支援センターがいっしょになって支援活動をしています。

はい、卒業後もその期間は当然支援しています。今の時期は日本人の学生でさえ就職するのが大変ですから、留学生の就職となるとさらに大変だと思います。そこで、留学生が就職するためのノウハウを持っている東京外国人雇用サービスセンターから外部講師として来ていただいて、年1回ガイダンスを開催しています。
また、本学もそうですが、留学生を雇用する企業などもあるので、そうした求人情報を留学生専門部署に出して斡旋をしています。本学が国際交流センターを立ち上げた時に留学生支援連絡会というのが学内にあって、留学生を組織的に支援していました。例えば授業のことであれば教務課が、生活であれば学生課が、それぞれ同じ情報を共有しながら留学生一人ひとりをきめ細かにサポートしています。


本学は、もともとは日本通運によって設立された大学ですので、海外にも事業所を持っていて、中国にもあります。ですから、貿易などに携わって中国と日本の架け橋になりたいという意識のある留学生が多いので、本学から日本通運に就職する留学生は年間5~6人います。日本の経済は、輸出が好転しないと良くならない構造ですから、これまでのアメリカ依存型から中国などとの関係強化に向かわざるを得なくなると思います。
いずれにしても貿易は非常に重要ですので、日本通運からも本学の留学生で資格を取ったり意欲のある学生は積極的に採用するというお話もあります。この資格ですが、他大学ではエクステンションセンターが資格取得講座を開講していますが、独立採算ということもあって、一般の方からもその大学の学生からも講座料を取るのが通常です。
本学にも資格取得講座というのが30弱ありますが、これらは大学が運営しており、一般の方は受講できず本学の学生だけを対象としています。しかも、すべて無料です。これは、本学の教育理念の柱の一つである「実学主義」を踏襲するもので、目標を達成するための資格取得も実学の一つであるということからのものです。

留学生がよく受ける講座では、通関士ですね。その他にはTOEIC、秘書検定技能、男子であれば販売士というような講座を積極的に受けています。特に観光業界は様々な資格があります。
添乗員、国内旅行業務、総合旅行業務などがあります。また日本の旅行会社に入るにはアクセスという資格を持っていることが優位に働く場合があります。これは、旅券の発行からホテルの手配、レンタカーの手配など旅行に関する手続きをコンピューターで一元管理するもので、この資格がないと実際に仕事ができないのです。
アクセスは日本航空が行っているシステムなので、通常は日本航空の試験センターまで行かないと受験できませんが、本学内で受験が可能です。つまり、本学の学生はダブルスクールをせずに資格にチャレンジすることができるわけです。

本学ではいろいろな学習環境を用意しているので、やる気のある学生はどんどん成長することができます。逆にやる気のない学生には、実にもったいないことだなと思いますね。

常々思っていることですが、日本語学校で1、2年勉強し、なおかつ大学に入って、もうすぐ卒業だというのに、なかなか日本語が話せない留学生が増えてきています。その原因を考えてみました。

例えば、日本人が語学の勉強で1年間アメリカに行けば、多くの人はTOEICのポイントでも600~700くらいは取って英会話もできて帰ってきます。ところが、4~6年いても日本語が上手にならない留学生もいます。それは、日本語をあまり話していないのです。留学生同士でいたりするので、母国語で済むわけです。これが常態化しているのです。これでは、せっかく日本に来て文化・経済などを学び、日本語も覚えて帰るという、留学本来の趣旨を考えると、非常にもったいないことです。
ですから、留学生の友達同士でも日本語で話す努力をすると、もっと流暢になります。日本語のうまい留学生には日本の友達が多いし、それだけ日本語を話す機会が多くなりますね。留学生でも日本の学生でも、若者は世界の将来の宝です。彼らがしっかり教育されて社会に出るかどうかで、大きな違いになってきます。大学は勉強する最後の場ですから、しっかりと身につけてもらいたいですね。

こちらこそ、ありがとうございました。
